1: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:12:27 ID:Gtk
本拠地、横浜スタジアムで迎えた中日戦。
先発三浦が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった。
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声。
無言で帰り始める選手達の中、昨年の首位打者内川は独りベンチで泣いていた。
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト…。
それを今の横浜で得ることは殆ど不可能と言ってよかった。
「どうすりゃいいんだ…」内川は悔し涙を流し続けた。
どれくらい経ったろうか、内川ははっと目覚めた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」内川は苦笑しながら呟いた。
立ち上がって伸びをした時、内川はふと気付いた。
「あれ…?お客さんがいる…?」
ベンチから飛び出した内川が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする内川の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「セイイチ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った内川は目を疑った。
「す…鈴木さん?」 「なんだアゴ、居眠りでもしてたのか?」
「こ…駒田コーチ?」 「なんだ内川、かってに駒田さんを引退させやがって」
「石井さん…」 内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
1番:石井琢 2番:波留 3番:鈴木尚 4番:ローズ 5番:駒田 6番:内川 7番:進藤 8番:谷繁 9番:
斎藤隆
暫時、唖然としていた内川だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
「勝てる…勝てるんだ!」
中根からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった
…。
翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。
先発三浦が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった。
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声。
無言で帰り始める選手達の中、昨年の首位打者内川は独りベンチで泣いていた。
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト…。
それを今の横浜で得ることは殆ど不可能と言ってよかった。
「どうすりゃいいんだ…」内川は悔し涙を流し続けた。
どれくらい経ったろうか、内川ははっと目覚めた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」内川は苦笑しながら呟いた。
立ち上がって伸びをした時、内川はふと気付いた。
「あれ…?お客さんがいる…?」
ベンチから飛び出した内川が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする内川の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「セイイチ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った内川は目を疑った。
「す…鈴木さん?」 「なんだアゴ、居眠りでもしてたのか?」
「こ…駒田コーチ?」 「なんだ内川、かってに駒田さんを引退させやがって」
「石井さん…」 内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
1番:石井琢 2番:波留 3番:鈴木尚 4番:ローズ 5番:駒田 6番:内川 7番:進藤 8番:谷繁 9番:
斎藤隆
暫時、唖然としていた内川だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
「勝てる…勝てるんだ!」
中根からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった
…。
翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。
2: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:12:54 ID:Gtk
球界を代表する巧打者の突然の訃報を受け、
時間軸を飛び越えて弔問に訪れたのはご存知男気黒田。
球場のベンチで幸せそうな顔を浮かべながら冷たくなっていた、という内川の最期を知ると、
彼の怒りは通夜振る舞いのお寿司のマグロよりも赤く燃え上がった。
早速棺桶のフタを得意のフロントドアで叩き割ると、
無言で横たわる内川を「FAでカープに来ないからこんなことになるんだ」
「この世を出る喜びを味わった気分はどうだ?」と責め立てる。
しかし当然のことながら反応は無い。
もともと死体蹴りはあまり趣味ではない黒田は興を削がれ、
さすがに死者にこれ以上鞭打つのは心が引ける、とも思ったため
最後に「安らかに眠れ、骨は俺が横浜の海に撒いてやる」と呟いた。
その刹那、内川の死体がカッと目を見開いた。
ぎょっとした黒田は声を上げようとしたが、
全身が金縛りに遭ったように痺れ、呼吸することもままならない。
「死シテナオ横浜カラ出ラレナイナンテ嫌ダ…」
底冷えのするような恐ろしい、それでいて悲痛な声が頭の中に響き渡った気がした。
暗く、妖しく光る内川の目に吸い込まれるように
視線を外せなくなり、いつしか黒田の意識は遠のいていった…。
時間軸を飛び越えて弔問に訪れたのはご存知男気黒田。
球場のベンチで幸せそうな顔を浮かべながら冷たくなっていた、という内川の最期を知ると、
彼の怒りは通夜振る舞いのお寿司のマグロよりも赤く燃え上がった。
早速棺桶のフタを得意のフロントドアで叩き割ると、
無言で横たわる内川を「FAでカープに来ないからこんなことになるんだ」
「この世を出る喜びを味わった気分はどうだ?」と責め立てる。
しかし当然のことながら反応は無い。
もともと死体蹴りはあまり趣味ではない黒田は興を削がれ、
さすがに死者にこれ以上鞭打つのは心が引ける、とも思ったため
最後に「安らかに眠れ、骨は俺が横浜の海に撒いてやる」と呟いた。
その刹那、内川の死体がカッと目を見開いた。
ぎょっとした黒田は声を上げようとしたが、
全身が金縛りに遭ったように痺れ、呼吸することもままならない。
「死シテナオ横浜カラ出ラレナイナンテ嫌ダ…」
底冷えのするような恐ろしい、それでいて悲痛な声が頭の中に響き渡った気がした。
暗く、妖しく光る内川の目に吸い込まれるように
視線を外せなくなり、いつしか黒田の意識は遠のいていった…。
3: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:13:22 ID:Gtk
─どれくらい経ったろうか、黒田ははっと目覚めた。
「俺は一体…」「確か、今日はレッドソックス戦に先発して…その後…」
「…ダメだ、思い出せない。ここは…球場か?眠ってしまっていたのか…」
どうやら夢を見ていたようだ。冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな、今シーズンこそワールドシリーズ制覇だ」
黒田は苦笑しながら呟いた。立ち上がって伸びをした時、黒田はふと気付いた。
「あれ…?お客さんがいる…?」
ベンチから飛び出した黒田が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどに赤い旗が振られ、地鳴りのようにハイパーユニオンが響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする黒田の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「黒田、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った黒田は目を疑った。
「い…石井さん?」 「なんですか黒田さん、居眠りでもしてたんですか?」
「あ…新井?お前は阪神じゃ…」 「なんだ黒田、かってに新井を再出戻りさせやがって」
「畝さん…」 黒田は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
1番:丸 2番:菊池 3番:新井 4番:エルドレッド 5番:梵 6番:下水流 7番:田中 8番:石原 9番:
黒田
暫時、唖然としていた黒田だったが、全てを理解した時、彼の心には分厚い雲がかかっていた。
「勝てない…勝てないんだ!」
倉からグラブを受け取り、とぼとぼとグラウンドへ歩き出す黒田、
その目に光る涙は悔しさの象徴以外の何物でもなかった…。
翌日、ベンチで冷たくなっている黒田が発見され、(46)と(22)はベッドで静かに息を引き取った。
「俺は一体…」「確か、今日はレッドソックス戦に先発して…その後…」
「…ダメだ、思い出せない。ここは…球場か?眠ってしまっていたのか…」
どうやら夢を見ていたようだ。冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな、今シーズンこそワールドシリーズ制覇だ」
黒田は苦笑しながら呟いた。立ち上がって伸びをした時、黒田はふと気付いた。
「あれ…?お客さんがいる…?」
ベンチから飛び出した黒田が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどに赤い旗が振られ、地鳴りのようにハイパーユニオンが響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする黒田の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「黒田、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った黒田は目を疑った。
「い…石井さん?」 「なんですか黒田さん、居眠りでもしてたんですか?」
「あ…新井?お前は阪神じゃ…」 「なんだ黒田、かってに新井を再出戻りさせやがって」
「畝さん…」 黒田は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
1番:丸 2番:菊池 3番:新井 4番:エルドレッド 5番:梵 6番:下水流 7番:田中 8番:石原 9番:
黒田
暫時、唖然としていた黒田だったが、全てを理解した時、彼の心には分厚い雲がかかっていた。
「勝てない…勝てないんだ!」
倉からグラブを受け取り、とぼとぼとグラウンドへ歩き出す黒田、
その目に光る涙は悔しさの象徴以外の何物でもなかった…。
翌日、ベンチで冷たくなっている黒田が発見され、(46)と(22)はベッドで静かに息を引き取った。
4: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:16:21 ID:17h
全然改変ないやないかと思ったら続きがあって草
6: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:20:44 ID:rLV
すき
7: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:21:39 ID:3CG
神定期
5: 名無しさん@おーぷん 2017/11/17(金)11:19:43 ID:aYi
ここまで作るのはすごいとおもった
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